一般社団法人 フランスレストラン文化振興協会とは?

「フランスレストラン文化振興協会(Association de Promotion de la Gastronomie Française 略称APGF)」は、もともと1994年以来開催されてきた「メートル・キュイジニエ・ド・フランス "ジャン・シリンジャー杯“」(料理)と「メートル・ド・セルヴィス杯」(サービス)を継続するために有志が集まり2017年に設立した任意団体でした。

しかし、2020年から始まったコロナ禍の下でレストラン業界が未曽有の危機にある中、今私たちは、業界を離れていく人たちも少なくないという現状を目の当たりにしています。一方、食べ手であるお客様方は、テイクアウトとレストランの違いを明確に認識されていらっしゃいます。つまり、レストランは単に「食事を提供する場」ではなく、食卓を分かち合う悦びを体験する場であり、レストラン体験でしか味わえない食卓文化があることを改めて心に刻まれた方々です。

私たちはレストラン文化を未来に繋ぐために、料理とサービスのプロフェッショナルと食べ手の皆さんが世代を超えて結集する強固な場が必要だと考えるに至りました。そしてコンクール以外の場でもレストランが必要とする人材を着実に育成していくことこそ急務であることを痛感、活動基盤を強化するためAPGFを一般社団法人として再出発しました。
 

なぜ「フランスレストラン文化」か?

レストランRESTAURANTの語源はRESTAURER(修復・復興する)というフランス語の動詞です。人の身も心をも「修復する場所」がレストランなのです。

そのレストランは、フランス革命(1789年)によって爆発的に発展・普及しました。王侯・貴族が追放され、それまで彼らが独占して来た美食文化がいよいよ本格的にパリの街々で花開いたのです。大革命発生の翌年、「パリはレストランしている!!」と伝えたイギリス特派員がいたそうですが、その「パリのレストラン」はあっという間にフランス全土へ、そしてヨーロッパへと広がっていき、現代に至ります。

ところで、レストランの基本は、常にお客様が支払う対価に見合った料理とサービスを提供し続けることにあります。換言すれば、レストランとしては、食材の選択、調理、インテリア、テーブルウェア、サービスに細心の注意を払い、お客様には分けへだてなくその店として最良のおもてなしを提供し続けることによって、お客様からの評価を高めていかなければなりません。こうしたたゆまざる努力によって、レストラン文化は洗練の度を高めて来たのです。つまり、レストランとは、「自由・平等・博愛」というフランス革命の理念に深く根差した食文化の精華といってよいでしょう。だからこそ私たちは、私たち自身の名に「フランスレストラン文化」を冠したのです。
 

なぜ、今人材育成か?

レストラン文化の現場は、食べ手であるお客様、作り手である料理人、そしてお客様と料理人をつなぎ、お客様の快適さを一手に請け負うサービス人の三者で成り立っています。ですから、私たちAPGFは、レストランはたえず料理とサービスの双方の質的向上を図らなければならず、そのためには定期的なコンクールというオープンな切磋琢磨の場が必要不可欠だと考えています。さらに上記の両コンクールは、それぞれ「プロスペール・モンタニエ世界料理コンクール」と「ジョルジュ=バティスト世界サービスコンクール」への参加権を得られる日本で唯一のコンクールなのですから、その継続は日本におけるフランスレストラン文化の更なる発展のため、ひいては日本の食文化全体の国際化のためにも、他に代えがたい重要性を持っていると確信しています。

しかし、レストラン業界全体がこれまで想像もしなかった苦境に立たされた今、放置すればレストラン文化は消滅してしまう危機に瀕しています。人々に食のよろこびを最高の形で提供するレストラン文化の灯を絶やさず、さらに輝かせるためには、料理とサービス両分野の熟練した技を継承・革新していく優れた人材を広範囲に育てていくことが必要不可欠です。そこで、私たちはコンクールを頂点としつつも、IT技術を最大限活用してリモートでも参加できる講座や講演という「学びの場」をアクセスしやすい形で広く展開していきます。一般社団法人APGFに入会して下さった会員の皆様は、そうした「学びの場」を活用するだけでなく、APGFの一員として、わが国のレストラン文化の維持・発展に貢献して頂けるのです。
 

結び

一般社団法人となった私たちAPGFは、これまで以上に高く大きな目標を掲げて参りますので、皆様の深いご理解と熱いご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 

一般社団法人 フランスレストラン文化振興協会
会長
大沢 晴美